失敗しないデイサービス選びのポイント
「楽しみをもって生活をしてほしい」
多くのご家族がそう願っているのではないでしょうか。現在は働きながら両親の介護問題に直面している方も多くなっています。そんな中で、家族の負担を軽減してくれ、利用者本人にとっても活動の機会をもつことができるのがデイサービス(通所介護)です。
しかし、いざ利用を検討すると「施設が多すぎてどこが良いのかわからない」という声もよく聞かれます。
そこで今回は、ケアマネジャーの視点から見たデイサービス選びの手順を、わかりやすく整理してお伝えします。
1. 目的を明確にする
デイサービスはゆっくり過ごすところというイメージをもたれている方が多いのではないでしょうか。現在ではデイサービスの中にもリハビリに特化した施設や介護美容に力を入れているなど、各施設によって様々なサービスを提供しています。そのためデイサービスを選ぶ際にはまず目的を明確にすることが必要になってきます。
たとえば――
- 一人でのお風呂が心配になってきている→ 入浴支援を受けることができる施設
- 歩行が不安定で筋力低下が心配 → リハビリが出来る施設
- もの忘れや認知症の進行が心配 → 認知症ケアに力を入れている施設
このように、「何のために利用したいか」を明確にすることが最初のステップです。
目的がはっきりすると、選ぶ基準が見えてきます。
2. 送迎範囲と利用時間の希望
デイサービスは送迎サービスがあることも大事なポイントです。腰痛がある方や酔いやすい方は長時間の送迎は苦痛となってしまいます。どのくらいの距離であれば負担なく通うことができるかも検討しておきましょう。
ここで注意が必要なのは自宅から施設へ直接行くわけではないということです。利用者宅をまわりながら送迎を行うので長時間の乗車となることもあります。そのため車移動が苦手な方は事前にケアマネジャーに伝えておきましょう。自宅近くの施設や送迎個別対応が可能な施設など検討することができます。
また、医療的ケアが必要な方は、対応が可能であるかも確認しておくと安心です。
3. ケアマネジャーに相談する
ケアネジャーは、地域のデイサービスの情報をよく把握しています。実際に利用している他の利用者さんや家族の声も知っているため、客観的なアドバイスを受けられます。
「リハビリ中心のデイサービスが良い」「半日利用がよい」「入浴支援を受けたい」
「男性利用者が多い施設が良い」「食事がおいしい施設」
といった希望を具体的に伝えると、条件に合う候補を提案してもらえます。
4. 見学や体験利用をする
ケアマネジャーから候補を提案してもらったあとは見学や体験利用を行い雰囲気をみてみましょう。
たとえば――
- 利用者さんが笑顔で過ごしているか
- 職員の声かけが丁寧で温かいか
- 清掃や整理整頓が行き届いているか
こうした「現場の空気」は、パンフレットやホームページではわかりません。
スタッフが利用者に対して敬語で話していたり、目線を合わせて話しているようなら安心です。
逆に、職員同士の会話ばかりで利用者が置き去りになっているような雰囲気の施設は、慎重に検討した方がよいでしょう。
※見学や体験を行っていない施設もあるので事前にケアマネジャーへ相談しましょう。
5. ご本人との“相性”を大切に
デイサービスは「通う場所」であり、ご本人が心地よく過ごせることが何より大切です。
特に、認知症の方や人付き合いが苦手な方の場合、「行きたくない」と言われることもあります。
そんなときは、
- 利用者層(同年代の方が多いか)
- 活動内容(体操・手芸・カラオケなど興味を持てるものがあるか)
- 食事内容(好みに合うか)
を見てみましょう。
「友達ができた」「スタッフが優しい」と感じられると、自然と通う意欲が生まれます。
6. 利用開始後も“合わない”と感じたら見直しを
最初に選んだデイサービスが、必ずしもベストとは限りません。
「行きたくない」「疲れる」「雰囲気が合わない」と感じる場合は、遠慮せずケアマネジャーに相談しましょう。
介護保険のサービスは、途中で変更・再調整が可能です。
大切なのは、「ご本人が安心して通えること」「家族の介護負担が軽くなること」。
この2つが両立できるデイサービスを選ぶことが、在宅介護を長く続けるコツです。
まとめ:安心して任せられる“もうひとつの家”を見つけよう
デイサービスは、単なる「介護サービスの場」ではなく、
ご本人にとっては社会とつながる大切な場所であり、
ご家族にとっては安心して休息を取れる時間を作る支えでもあります。
見学や体験利用を重ねるうちに、「ここなら大丈夫」と思える施設に出会えるはずです。
焦らず、ケアマネジャーと一緒に検討していきましょう。
【ポイントまとめ】
- 目的(入浴・リハビリ・認知症ケアなど)を明確に
- 雰囲気・職員対応・清潔感をチェック
- ご本人との相性を最優先
- 送迎・時間・医療対応を確認
- ケアマネジャーと相談しながら進める
- 利用後も定期的に見直す
在宅介護は、一人で抱え込まないことが大切です。
デイサービスを上手に活用しながら、ご本人もご家族も笑顔で過ごせる日々をつくっていきましょう。



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