介護費用は「知識」があれば確実に下げられる
結論から言います。
介護費用の多くは、制度を正しく使えば下げられます。
親の介護が始まった途端、デイサービス代、訪問介護費、おむつ代、ショートステイ代と、次々に出費が発生します。
先が見えない金銭的な不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし、日本の介護保険制度には負担を抑えるための制度がいくつもあります。
ほとんどの家族が「申請できることを知らないまま」損をし続けているのが現実です。
この記事では、現役ケアマネジャーの視点から今月から実行できる費用削減策を7つに絞って解説します。
「我慢して支払い続ける」のをやめ、使える制度を活用していきましょう。
家族介護の負担を減らす!費用節約の具体策7選
① ケアマネジャーに「月の予算上限」を数字で伝える
これが最優先です!
ケアプランを組むケアマネジャーは、あなたの家計の実情を把握できていません。
「できる限り安心して生活できるように」という思いでプランを組んだ結果、費用が膨らんでしまうケースは珍しくありません。
具体的な伝え方はこれだけでOKです。
「介護サービス費は月〇万円以内に抑えたいです」
予算を共有することで、ケアマネは以下の調整ができます。
- デイサービスの回数を週3回→週2回に変更
- 訪問介護・デイサービスの時間を見直す
- 利用できる制度を新たに提案する
プランの見直しだけで、月5,000〜20,000円の削減につながった事例は日常的にあります。
② 「高額介護サービス費制度」を必ず申請する
1か月の自己負担が上限を超えた分は、申請すれば返金されます。
この制度は、いわば「払いすぎた介護費の払い戻し」です。
自己負担の上限額は収入の区分によって異なり、一般的な世帯(住民税がかかっている世帯)では月44,400円が上限です。これを超えた分が戻ってきます。
見落としやすいポイントがあります。
複数のサービスを利用している場合、費用は合算して判定されます。
「デイサービスだけでは上限を超えない」と思っていても、ショートステイや訪問介護と合わせると超えるケースがあります。
申請先: お住まいの市区町村の介護保険担当窓口へ。
初回申請後は原則、自動的に振り込まれる自治体がほとんどです。
まだ申請していない方は、今週中に電話で確認してみてください。
※参考:厚生労働省「高額介護サービス費の支給」
③ 施設サービスを使うなら「負担限度額認定証」は必須
ショートステイや特別養護老人ホームを利用している方は、必ず確認してください。
施設サービスでは、介護サービス費のほかに「食費」と「居住費(部屋代)」が実費でかかります。
この2つは介護保険の給付対象外のため、見落とされがちです。
しかし「負担限度額認定証」を取得すれば、収入に応じて食費・居住費が大幅に安くなります。
削減額の目安:
| 負担段階 | 食費(1日) | 居住費(1日・個室タイプ) |
|---|---|---|
| 第1段階(生活保護等) | 300円 | 820円 |
| 第2段階(年金収入80万円以下等) | 390円 | 820円 |
| 第4段階(通常) | 1,445円 | 2,006円 |
第2段階と第4段階を比べると、1日あたり約3,000円、月換算で約9万円の差が生じます。
対象になる可能性がある方は、迷わず申請してください。
申請先: 市区町村の介護保険担当窓口(収入・預貯金の条件あり)
※参考:厚生労働省「介護保険施設における食費・居住費の負担限度額認定」
④ 長期使用の福祉用具は「購入」を検討する
「福祉用具はレンタルが基本」という思い込みが、じわじわ損をさせています。
手すりや歩行器はレンタルが一般的ですが、長期間使い続けることが明らかな場合は「住宅改修費支給制度」を使って購入・設置したほうが、総合的なコストは安くなります。
手すり設置のコスト比較:
- レンタル: 月500円 × 36か月 = 18,000円
- 住宅改修(購入): 工事費20,000円 → 自己負担 2,000円(1割負担の場合)
3年使うなら、購入のほうが約16,000円安い計算です。
介護保険の住宅改修費は上限20万円まで支給されます(申請が必要です)。
ケアマネジャーに相談すれば、住宅環境や身体の状態に合わせた提案をしてもらえます。
※参考:厚生労働省「居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給」
⑤ おむつ代は「ネット購入+医療費控除」でダブル節約
おむつ代は月5,000〜15,000円かかる、見直しやすい固定費です。
ドラッグストアで都度購入している場合は、一度見直しをしてみましょう。
ネット購入には主に2つの方法があります。
楽天市場でのまとめ買い
ケース単位で購入すると1枚あたりの値段が下がります。
0・5のつく日に楽天カードで支払うと、ポイントが最大20%以上戻ってくることも。
玄関まで届くので、買い物の負担も減ります。
おすすめ商品や選び方は「[介護用オムツのおすすめ5選はこちら]」をご覧ください。(※内部リンクを挿入)
Amazon・Yahoo!ショッピングの定期便
定期購入を設定するだけで通常価格より10〜15%安くなります。
自動で届くので注文の手間もかかりません。
さらに「医療費控除」も忘れずに。
- 主治医に「おむつ使用証明書」を発行してもらう(無料〜数百円)
- 領収書を1年分まとめて保管する
- 確定申告で医療費控除として申請する
年間おむつ代が10万円の場合、所得税率20%の方は約2万円が戻ってきます。
※参考:国税庁「医療費控除の対象となる医療費」
⑥ 自治体独自の「家族介護支援制度」を調べる
国の制度とは別に、市区町村が独自に行っている支援があります。
知らないだけで対象になっている方は多くいます。
代表的な支援内容は以下のとおりです。
- おむつ支給・購入券の配布(月3,000〜5,000円相当)
- 訪問理美容サービスの費用補助
- 家族介護慰労金(在宅介護を続けた家族に年間10万円程度)
- 介護用品購入費の助成
確認方法はとても簡単です。
お住まいの地域包括支援センター(市区町村の介護相談窓口)に電話して、
「家族向けの助成制度を教えてください」
と聞くだけ。担当者が一覧で教えてくれます。
⑦ 「世帯分離」で介護保険料と自己負担を下げる
子どもと同居している親が「住民税がかかっている世帯」に含まれている場合、世帯分離で負担が下がることがあります。
世帯分離とは、同じ住所に住みながら、住民票上の世帯を分けることです。
これにより親が「住民税がかからない世帯(住民税非課税世帯)」と認定されると、以下が変わります。
- 介護保険の自己負担の上限額が下がる
- 施設の食費・居住費の負担が下がる可能性がある
- 介護保険料が下がる場合がある
【重要】申請時の伝え方に注意してください。
「介護費用を抑えたいから」という理由では、受理されない場合があります。
世帯分離が認められる理由は**「財布が別々で、それぞれの収入で独立して生活していること」**です。
申請窓口では、
「それぞれの収入で独立して生活しているため、世帯を分けたい」
と伝えるようにしてください。
実態として生計が別々であれば問題なく申請できますが、実態が伴わないまま申請することは避けてください。
また、健康保険の扶養の関係や医療費の合算に影響が出る場合もあります。
申請前に市区町村の窓口でメリット・デメリットを事前に確認してもらうことを強くおすすめします。
※手続きはお住まいの市区町村の住民課窓口へ(内容は自治体によって異なります)
まとめ|「知らない」が最大のコスト
介護費用を下げるうえで最大の壁は、制度の複雑さではなく**「こんな制度があると知らないこと」**です。
まずはケアマネジャーに月の予算を正直に伝え、高額介護サービス費や負担限度額認定証の申請状況を確認してみてください。
おむつ代のネット購入切り替えや自治体独自の助成制度など、調べれば今月から動けることが必ず見つかります。
「無理して払い続ける」のではなく、制度を武器にして家計を守るという発想の転換が、介護を長く続けるための現実的な答えです。
一人で抱え込まず、まずは担当のケアマネか地域包括支援センターに相談することから始めてみてください。
この記事の監修: 現役ケアマネジャー(介護支援専門員)。介護の現場で10年以上、家族の費用相談に対応。
参考・引用元
- 高額介護サービス費制度 厚生労働省「高額介護サービス費の支給」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/kaigo_kouhyo/index.html
- 負担限度額認定証 厚生労働省「介護保険施設における食費・居住費の負担限度額認定」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/futan/
- 住宅改修費支給制度 厚生労働省「居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給」 https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/housahou/sisetsu/07.html
- 医療費控除(おむつ代) 国税庁「医療費控除の対象となる医療費」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm
- 世帯分離 各市区町村の住民課窓口(手続き内容は自治体によって異なります)


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