「うちの親は大丈夫かな?」
高齢者を狙った特殊詐欺は年々巧妙になっています。
警察官や市役所職員を名乗る電話、還付金詐欺、SNSを利用した投資詐欺など、手口は多様化し、高齢者だけでなく若い世代にも被害が広がっています。
私自身、地域包括支援センターで勤務する中で、高齢者を狙った特殊詐欺や悪質商法について注意喚起を行う機会があります。
また、警察から詐欺対策アプリや防犯対策について情報提供を受けることもあり、地域全体で被害を防ぐ取り組みが進められています。
この記事では、私が実際にケアマネジャーとして高齢者やそのご家族へお伝えしている詐欺対策を紹介します。
無料ですぐに始められる方法も多いので、大切なご家族を守るためにぜひ最後までご覧ください。
高齢者が特殊詐欺に狙われやすい理由
特殊詐欺は誰でも被害に遭う可能性がありますが、特に高齢者は被害が多い傾向があります。
その理由として、
- 公的機関を名乗る電話を信用しやすい
- 一人暮らしで相談相手が少ない
- 「自分は騙されない」と思ってしまう
- 突然の電話で冷静な判断が難しい
などが挙げられます。
最近では、
- 警察官を名乗る電話
- 本物そっくりの警察手帳画像
- AIで家族の声を再現した電話
など、詐欺の手口は年々巧妙になっています。
「自分は大丈夫」と思っている方ほど注意が必要です。

地域包括支援センターでは、特殊詐欺や悪質商法に関する相談を受けることがあります。
「何から対策を始めればいいか分からない」というご家族も少なくありません。
この記事では、今日からすぐに始められる効果的な対策を分かりやすく紹介します。
家族が今日からできる詐欺対策5選
① 警察庁推奨の詐欺対策アプリを利用する
警察庁の資料では、特殊詐欺の最初の接触手段の99.0%が電話となっています。※参照:警察庁・SOS47「令和7年11月末における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」
そのため、まずおすすめしたいのが、警察庁が紹介している詐欺対策アプリです。
アプリのダウンロード・設定手順
現在紹介されている主な無料アプリは次の2つです。
| アプリ | 特徴 | おすすめ度 |
|---|---|---|
| 詐欺対策 by NTTタウンページ | 詐欺電話対策・発信者表示・迷惑電話警告 | ★★★★★ |
| 詐欺バスター Lite | シンプルな迷惑電話対策 | ★★★★☆ |
どちらも無料で利用でき、詐欺電話や迷惑電話への対策として役立ちます。
迷った場合は、「詐欺対策 by NTTタウンページ」から始めるのがおすすめです。
私も実際に会社用と個人用、どちらのスマートフォンにもインストールしています。
詐欺対策だけでなく、知らない番号から電話がかかってきても発信元の事業所名が表示されることが多く、仕事でも日常生活でもとても便利だと感じています。

ご自身だけでなく、高齢の親御さんのスマートフォンにも設定してあげることをおすすめします。
電話の操作には慣れていても、アプリのダウンロードや設定に不安を感じる高齢者は少なくありません。
帰省したときや一緒に過ごす機会に、ダウンロードから設定まで手伝ってあげると安心です。
② 親のスマートフォンも一緒に設定する
詐欺対策アプリは、自分のスマートフォンだけでなく、高齢の親御さんのスマートフォンにもダウンロードし、設定まで済ませておくことが大切です。
高齢者の中には、電話やカメラの操作には慣れていても、アプリのダウンロードや設定に不安を感じる方も少なくありません。
また、アプリストアで検索した際に、誤って別のアプリをインストールしてしまう可能性もあります。
帰省したときや一緒に過ごす機会に、ダウンロードから設定まで手伝ってあげましょう。

高齢のご利用者から、
「携帯の操作がよく分からない」
という相談を受けることがあります。
また、
「子どもは忙しそうだから頼みにくい」
と話される方も少なくありません。
そのため、「入れておいてね」と伝えるだけではなく、アプリのダウンロードから設定まで一緒に行ってあげることをおすすめします。
5〜10分ほどの作業で、大切なご家族を詐欺被害から守れるかもしれません。
③ 固定電話の対策も忘れずに
特殊詐欺は、スマートフォンだけでなく固定電話にも多くかかってきます。
そのため、固定電話の対策も忘れてはいけません。
特におすすめしたい対策は次の3つです。
- 国際電話の利用休止サービスを利用する
- 迷惑電話防止機能付き電話機を利用する
- 常に留守番電話設定にしておく
これらを組み合わせることで、詐欺被害を防げる可能性が高まります。
国際電話の利用休止サービスを利用する
警察庁によると、令和7年中、特殊詐欺に利用された電話番号のうち、約75.5%が国際電話番号です。※参照:警察庁・SOS47「みんなでとめよう!!国際電話詐欺 #みんとめ」
海外と電話をする予定がない家庭であれば、固定電話への国際電話を休止するサービスの利用がおすすめです。
申込みは無料で、対象となる固定電話であれば利用できます。
海外へ電話をかける予定がないご家庭は、ぜひ活用を検討してみてください。

高齢者世帯では、海外に電話をかける機会がほとんどないというご家庭も多いのではないでしょうか。
無料で利用できるため、最初に取り組みたい詐欺対策の一つです。
迷惑電話防止機能付き電話機を利用する
最近では、
- 通話内容を自動録音する
- 「この通話は録音されます」と相手へアナウンスする
- 迷惑電話を警告する
などの機能が付いた電話機が販売されています。
詐欺グループは録音を嫌うため、電話を切るきっかけとなり、被害防止につながることが期待されています。

自治体によっては、迷惑電話防止機能付き電話機の購入費用を補助している場合があります。
対象者や補助金額は自治体ごとに異なりますが、購入前に一度確認してみることをおすすめします。
「〇〇市 迷惑電話防止機能付き電話 補助金」
と検索すると見つかることがあります。
分からない場合は、市区町村や地域包括支援センターへ相談してみましょう。
留守番電話を活用する
常に留守番電話に設定しておくことも、詐欺対策として効果的です。
知らない番号からの電話にはすぐに出ず、相手がメッセージを残したことを確認してから折り返す習慣をつけましょう。
詐欺グループは録音されることを嫌がるため、留守番電話設定だけでも被害防止につながることがあります。
ケアマネKIKIのワンポイント
詐欺対策アプリを入れるだけでは十分とは言えません。
普段から親御さんへ、
「知らない番号にはすぐ出ないでね」
「困ったら一度電話を切って家族へ相談してね」
と伝えておくことも、大切な詐欺対策です。
④ 警察庁が紹介している詐欺対策サービスも確認しよう
警察庁では、詐欺対策アプリだけでなく、特殊詐欺対策に役立つサービスや機器も紹介しています。
サービス内容は今後更新される可能性があるため、最新情報は警察庁の公式ホームページで確認することをおすすめします。
紹介ページでは、
- 詐欺対策アプリ
- 固定電話対策サービス
- 防犯機器
などが紹介されています。
「どの対策を選べばいいか分からない」という方は、一度確認してみると安心です。
⑤ 家族で「もしも」の約束をしておく
詐欺対策アプリや固定電話の対策だけでなく、普段から家族で話し合っておくことも大切です。
例えば、
- 「知らない番号からの電話にはすぐに出ない」
- 「お金の話が出たら、一度電話を切る」
- 「警察や市役所を名乗る電話でも、必ず家族へ相談する」
など、事前に約束を決めておくだけでも、被害を防げる可能性があります。
また、離れて暮らしている親御さんとは、定期的に連絡を取り合い、最近の詐欺の手口について話題にしておくことも大切です。

高齢者の中には、
「子どもに心配をかけたくない」
という思いから、一人で悩んでしまう方も少なくありません。
普段から、
「何かあったら、すぐ電話してね。」
と伝えておくだけでも、相談しやすい関係づくりにつながります。
そして何より、子どもの方から電話をかける習慣を作っておくことをおすすめします。
5分も話す必要はありません。
「変わりない?」
そんな一言だけでも十分です。
仕事の休憩時間や家事がひと段落したあとなど、無理のないタイミングで電話をかけてみてください。
すると自然と親御さんの方から、
「今日、変な電話がかかってきたよ。」
「今日は腰が痛くて動けなくてね。」
など、小さな変化を話してくれるようになります。
その何気ない会話が、詐欺被害や体調の変化に早く気づくきっかけになることもあります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 詐欺対策アプリは無料ですか?
今回紹介した「詐欺対策 by NTTタウンページ」と「詐欺バスター Lite」は、どちらも基本無料で利用できます。
機能や対応端末は変更される場合があるため、ダウンロード前に公式サイトをご確認ください。
Q2. スマートフォンが苦手な親でも利用できますか?
アプリのダウンロードや設定は、ご家族が一緒に行うことをおすすめします。
一度設定してしまえば、その後は特別な操作はほとんど必要ありません。
スマートフォンの操作に慣れていない高齢者でも利用しやすいでしょう。
Q3. 固定電話だけでも対策は必要ですか?
はい。
特殊詐欺は固定電話を狙ったものも多くあります。
国際電話利用休止サービスや迷惑電話防止機能付き電話機、留守番電話設定などを組み合わせることで、被害防止につながります。
Q4. 地域包括支援センターへ相談できますか?
はい。
地域包括支援センターでは、高齢者の生活全般に関する相談を受け付けています。
自治体の補助制度や、高齢者の見守りについて相談できる場合もあるため、不安がある方は一度相談してみましょう。
まとめ
特殊詐欺は、誰にでも起こりうる身近な問題です。
しかし、
- 警察庁が紹介する詐欺対策アプリを利用する
- 親御さんのスマートフォンも設定する
- 固定電話の詐欺対策を行う
- 家族で「困ったら相談する」と約束しておく
など、今日から始められる対策はたくさんあります。
大切なのは、「あとでやろう」ではなく、今日できることから行動に移すことです。

地域包括支援センターで相談を受けていると、
「不安だけど、何をしたらいいか分からない」
という声をよく耳にします。
詐欺は、被害に遭ってから取り戻すことが難しいケースも少なくありません。
今回ご紹介した対策は、どれも今日から始められるものばかりです。
5分だけでも構いません。
親御さんへ電話をかけることから始めてみませんか。
その一本の電話が、詐欺被害を防ぐだけでなく、ご家族の安心にもつながるはずです。
今日できる詐欺対策から始めましょう
まずは親御さんに電話をして、「知らない番号にはすぐ出ないでね」と伝えるだけでも大切な一歩です。
スマートフォンや固定電話の設定が不安な場合は、家族で一緒に確認してみてください。
参考資料
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